課題に寄り添うエンジニアの作品、技術力の高い作品、想いを形にした作品、あいかわらず多様性満載です
11月23日(祝)にMA2018ヒーローズ・リーグ「プロが選ぶヒーロー」の一つ「CIVICTECHヒーロー」の部門賞決勝が開催されました。この部門賞が求めた作品は、「自分達の社会を少しでも良くする作品」。
そんな部門賞には、62作品が応募され、その中からオンライン審査により選出された10作品にて当日は決勝審査会が開催されました。
それでは、発表された作品をご紹介します。
※MashupAwards2018のCIVICTECH部門賞は「CIVIC TECH JAPAN」さんにパートナーとして協力頂いております。
今回の部門賞のパートナーでもある「CIVIC TECH JAPAN」のメンバーの一人でもあり、今回の決勝審査会の審査員でもある福島さんが、イベント後にTwitterで全作品に対してのコメントを残してくれているので、それも合わせてご紹介したいと思います。
CIVCITECHヒーロー
まずは、CIVICTECHヒーローを受賞し、賞金10万円と、FESTAでのプレゼンを手に入れた作品の紹介です。
elet – 簡単電気共有プラットフォーム
elet(イーレット)は、誰もが簡単に電気を売ったり買ったりできるようにするためのIoTプラットフォーム。電気を売りたい人は、専用のコンセントを設置するだけ。電気を買いたい人は、コンセントに記載されているQRコードを読むことで専用アプリをインストールすることなくLINEや仮想通貨で簡単に支払いを行うことができます。
審査員から「どの点がシビックテックなんでしょうか?」という質問に「電動モビリティが普及するだろう近い将来、外出時の電気不足は大きな社会課題となるはず」というビジョンを明確にもっていたところは、大きかったのではないかと思います。電気の重要性って、今以上に未来は増して行くように思います。災害時も、電源確保は情報確保のためにもとても大切なことです。
<審査員の福島さんのコメント>
今年の最優秀作品!電気を簡単に売ることができるという仕組みをハード/ソフト両面で構築。電動モビリティが普及するクリーンな社会の実現をビジョンにも持ち、ワクワクする作品でした。これ、日本発で早く実現して欲しい!
審査員紹介
今回、CIVICTECH部門賞の作品を選出する審査員として、以下3名の方々にお越し頂きました。
・福島健一郎氏(一般社団法人コード・フォー・カナザワ代表理事|アイパブリッシング株式会社 代表取締役)
・瀬戸寿一氏(東京大学空間情報科学研究センター)
・白澤美幸氏(Code for NAGAREYAMA代表)
今回は審査員のみなさまに、ヒーローになった1作品だけでなく、上位3作品を選んでいただきました。
残り2作品はこちらになります。
省庁横断の報告書検索サービス「CLIP」
各省庁が公表している報告書を全文検索できるサービス。「報告書が探しにくい」という問題意識が一致したことから、省庁の公務員が、自らコードを書き、3ヶ月で開発したとのこと。800件のデータは最終的に手動で調整したそうです。
欲しいけど、ないから作った。これぞCIVICTECH。
<審査員の福島さんのコメント>
行政の情報を分かりやすく提供したいというmokubaのコンセプトがしっかり出ていたと思う。アイデアはあったとしても、これ細かなハードルは幾つもあって、実際、人力で実現している部分も多い。それをやり遂げた実現力に驚き!
重度肢体不自由者のための高感度磁気スイッチ ROHM MI型3 軸デジタル磁気センサIC BM1422AGMV
ほんの少し指先が動くだけで信号を送ることが出来る指輪。
目指していることに対しての完成度が高かったように思います。指輪型の装置にすることで女性の利用度があがったとのこと。そういうことって大事ですよね。
<審査員の福島さんのコメント>
磁気を利用したことで逆にシンプルな仕組みになり、面倒なキャリブレーションもほとんどなく、重度肢体不自由者の方の指の動きを感知するこの作品は素晴らしいと思います。もっともっと、こういう作品出て欲しい!
決勝進出作品
続いて、今回決勝に勝ち残り、プレゼンテーションをした作品を発表された順番にご紹介します。
現場(園)の声から生まれたカメラ「Hoiku Cam」
HoikuCamは写真撮影時に合わせて音声メモをクラウド上に保存出来るカメラです。クラウド側では送られてきたデータをもとに自動で子供ごとに画像を仕分けし、音声メモをテキスト化して付与。また、同時に様々なWEBサービス上(Facebook、Trello連携済み)にデータを共有することが出来、保育士だけでなく保護者の方とも情報を共有することが可能です。
横浜にあるくらき永田保育園で行われた保育アイデアソンで生まれた、保育士さんの現場での悩みを解決するためのカメラ。決勝イベントに、当事者である保育士さんも来ていたことにCIVICTECHを感じました。
<審査員の福島さんのコメント>
保育園と実際に実証しながら進めていることやカメラを自作しているところに驚き。これが完成し、保育士さんが園児を見るという本来の業務に集中できるよう、ぜひ頑張って欲しい作品でした。
こども病院探し-急いで近くの受付可能なこども病院を探せるアプリ
緊急時に, いますぐ受付してくれるこども病院を表示。また、地図上のピンをタップするとその病院について様々な情報(現在地からの所要時間, 口コミ, 写真, 住所, TEL)が表示されます。
他のどのアプリよりも多くの子供病院を掲載しています. ( GoogleMapより多いです )
自分の課題ではないけれど、友達の課題を自分のスキルで解決するという形は、嫌いじゃないです。課題保有者が自分の力で課題を解決することはもちろん大切ですが、そんな課題保有者に寄り添えるエンジニアの存在もとても大切だと思います。
<審査員の福島さんのコメント>
託児所で子供が怪我をしたときにどの病院が最適なのかを知ることができるというアプリ。必要な病院の情報は、国のオープンデータをはじめ様々なデータをマッシュアップして足りない部分を投稿型で集めるという考え方はとっても良いですね!
まねっこLEDミラー
表情のデータをAIが分析して「絵文字」で表示するデバイス。特に自閉症などの疾患をお持ちの方の”表情トレーニング”アイテムです。あそびながら笑顔や表情のトレーニングができます。
<審査員の福島さんのコメント>
デザインを装飾可能なLEDデバイス、表情もしっかり認識できて、とても面白い。自閉症の子供たちが表情の表現をしっかりできるようにする治療に使えるのではないかというところが今後の期待ポイントです!
仮想空間でサイバー攻防を体験できる学習ゲームCyship
子供の頃に夢中になった戦艦バトル(Ship)×サイバーセキュリティの学習ソフト。 コンピュータがわからなくても、セキュリティの攻防を体験しながら学べます。
<審査員の福島さんのコメント>
コンピュータを知らなくてもカードゲームを遊ぶことで、セキュリティが学べるというコンセプトが素晴らしいです。画面も良い感じにサイバーちっく。今後のゲームの進化に期待しています。
いきいきの輪
生駒の某街の自治会では買い物に行きたい人の送迎支援を3年続けてきました。現在利用者30人、潜在利用者200人想定。しかしむやみに拡大すると支援リーダーが疲れてしまうので、その負担を減らすために考えた仕組みとのこと。
<審査員の福島さんのコメント>
個人的に最もシビックテックコミュニティらしい作品でした。高齢者の送迎をボランティアで支える現在の仕組みの課題をシンプルな技術で解決し、無理ないところからやっていこうというのは良いですよね。全国に拡がるモデルになるといいなぁと思います!
てつづきおしえ太郎
各種手続きに必要なモノ(印鑑、本人確認書類、委任状など)をLINE Botが教えてくれるサービスです。Botは 「Bluemix(Node.js)」を経由し、「DialogFlow」にて言葉の「ゆらぎ」(生まれた、赤ちゃん→出生届)を吸収させたのち、手続き内容を確定させ、応答内容を分岐で処理しています。
ほんと自治体の各種手続きって何が必要なのかわからず、時間を作って役所に出向いて、書類が足りなかった時のショックってとてつもないです。個人的に心から解決して欲しい課題でした。
<審査員の福島さんのコメント>
確かに自治体の各種手続きは複雑でHPで調べても分かりづらいですよね。これが整理されてbotやスマートスピーカーが教えてくれると確かに便利。間違いないです。これ、サクッと導入してもらって、普及させましょう!(笑)
Care Thing
Care Thingは布センサー「nuno」を使った介護向けのIoTサービスです。ベッドに設置したセンサーで利用者の状態を検知して、ベッドからいなくなったり、床ずれの可能性があれば、連動したLINEアカウントでお知らせします。
現在はいるかいないかの判断のみで、床ずれ対応機能は未実装ですが、応用するだけとのこと。最初は市販品の作品を応用した作品なのかと思ったら、布センサーも自作とのこと。技術力的にすばらしい作品でした。
<審査員の福島さんのコメント>
導電布を使い、その布の上に人が寝ている/寝てないを検知できるってすごいですよね。しかも、センサーは着脱可能だし、表面は好きな布を使えるっていうし。まだ技術的に進化途中なので、今後、大きく期待できる作品でした!
こちらで全ての発表は終了です。
イベントの様子
発表終了あとはタッチ&トライ。参加者のみんなも他の作品に興味深々。
タッチ&トライも審査に含まれるので、審査員のみなさまも真剣です。
イベントの様子は、以下もみていただくと、さらにさらに雰囲気をわかっていただけると思います。
・つぶやきまとめ(Togetter)
・写真(Flickr)
・動画(YouTube)前半 後半
みなさま、お疲れ様でした。集合写真の掛け声は「3・2・1・Wow」
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