技術力に裏付けられ、表現力豊かな「モノづくり」が集まるMAリーグ決勝TOP10
自称「モノづくりの天下一武道会」と謳っているMAリーグの決勝審査会は、約50もの作品の発表を聞き、参加者の相互投票でヒーローが3人決まる場所。
1日で50もの作品の発表を見ると聞くと過酷と思うかもしれません。しかし、作品は多様で、決勝審査会とあって完成度も高い作品が集まっているこの場の発表は、お笑いライブにきているかのように見ていて楽しいんです。おもわず笑顔がこぼれちゃう。
腹筋だけでプレゼンが進行される作品、レモンの断末魔が聞こえる作品といった変化球豊かな作品から、歯の噛み締めで車椅子を動かす魔法みたいな作品、未来の布製ウェアラブル文字入力デバイスといった技術力の高い作品まで、多様な作品が揃います。
そんな演者達の中でもTOP10に選ばれた作品を、当日のデモ動画を中心にここで紹介します。
- 1位:波動ティッシュ
- 1位:??
- 3位:Twitter for PC-G850
- 4位:DM警察
- 5位:断末魔レモン搾り
- 6位:Magnet LED Ball
- 6位:ハイパー筋電位電動車いす
- 8位:甲羅型モビリティ「nokomo」
- 8位:musime
- 10位:文庫の顔
- 10位:Wearbo – 布製ウェアラブル文字入力デバイス
と、その前に少しだけ「ヒーローズ・リーグ」のMAリーグというものの説明をさせてください。「ヒーローズ・リーグ」とは旧MashupAwardsといわれていたコンテストの新しいカタチです。作品が多様すぎて一つの作品に選ぶことができなくなり、たくさんのヒーローがうまれるリーグの集合体としての今のカタチへと生まれ変わりました。リーグは、IoTリーグ、CIVICTECHリーグなど12ものリーグがあり、MAリーグはその複数あるリーグの中の一つです。旧MashupAwardsのもともとのコンセプトである「自由開発」と「相互投票による選出」が特徴のリーグで、審査基準は以下3点になります。
・チャレンジ度(ぶっとび度、変化球、新規性、アイデア)
・ギーク度(突き抜け度、こだわり度、完成度)
・ワクワク感(表現手法、体験、デザイン)
MAリーグTOP10作品紹介
1位:波動ティッシュ
とあるアレの波●拳が出せるティッシュケース。ですが、本日発表された作品からアイデアをいろいろパクって、その場でいろんなパターンを実装するプレゼンを披露。完全にオーディエンスの心を掴んでいました。
ティッシュを無限にとりたくなってしまう感情を生み出すのすごい。そしてこの短時間実装力もすごい。あの場にいないと、この凄さをお伝えできないのが残念です。おバカヒーローとの2冠作品。
1位:??(muscle smile)
顔認識を使って、腹筋の回数を記録するアプリ。笑顔で腹筋をすると、100倍ポイント加算され、たのしくトレーニングができる。と、説明を聞くと普通ですが、このサービスを表現する能力が抜群にすばらしい。
腹筋でスライドが進み、本人は全く言葉を発しません。完成度を見せつけると同時に、そのプレゼンはオーディエンスを笑顔の渦へと導いていました。
3位:Twitter for PC-G850
世界初にして最高のポケット・コンピュータ向けツイッタークライアント。漢字もひらがなも出せないポケコンで Twitter をするために、パソコン史30年分の技術の粋をフリスクケースにぐっと凝縮。
この作品は、学生ヒーロー、オレトクヒーロー、MAヒーローの3冠作品。彼以外の誰も作らないだろうと思わせる、ぶっちぎりのオレトク作品だったように感じました。
4位:DM警察
あなたのDMを監視して、DMを受け取ったら「オープンチャネルに行きましょう!」と注意してくれるBOTを召喚できるサービス。「その連絡、DMじゃなくてオープンチャネルにしてくれればシェアしやすいのに..」と思った経験のある人のためのプロダクト。毎回DM送るたびに警察来るので、実際に利用したら無駄なDMが減ったとのこと。「Herokuボタンであなたの環境にデプロイ可能。」とのことなので、気になった方は是非導入してみてはいかがでしょうか。
完成度の高さはもちろんのこと、「体験」のデザイン力がすばらしいと思った作品。相手に嫌な気分にさせずに問題を解決させるこの組合わせ、BOT、職質、パトロールというチョイスや選択肢の選び方などさすがと感じました。
5位:断末魔レモン搾り
「居酒屋でレモン頑張ってるじゃん。だから、レモンを自分ごとにして体験し、レモンに感謝するデバイス」とのこと。レモンを搾ると、レモンの断末魔が聞こえます。このインパクトがすごいので、是非デモをみていただきたい。
デモは2種類あり、1つ目は断末魔、2つ目がツンデレ版。
6位:Magnet LED Ball
磁石とLEDを使ったLEDボール。光ってるボールをカチンとすると、赤くなって色が伝導しているかのよう!「どんなセンサー使ってるの?」って聞かれるけれど、実はセンサーを全く使ってません。色が変わるのは電気ホルダーの接触が甘く、たたくと初期値(赤)に戻っているだけですw。でもでも、とっても簡単に作れて、子供ウケも良い。デモと仕組みはこちら。
センサーレス(接触不良)インタラクティブ作品。発明とは偶然から生まれるとはまさにこのこと(しらんけど)。
6位:ハイパー筋電位電動車いす
手足を使わずに操縦する電動車いすシステム。歯を噛みしめるときに発生する筋電位により操作する筋電位マウスを開発、筋電位電動車いすのインターフェイスシステム。
筋電で操作しているとは思えないスピードやスムーズさ。レイテンシーなく動くので、本当魔法みたい。CIVICTECHヒーロー作品でもあります。
8位:甲羅型モビリティ「nokomo」
甲羅型モビリティ。micro:bit搭載のハンドルで自在に操縦可能。ハンドル傾けると旋回、Aボタン押すと前進、Bボタン押すと後退。甲羅はクッションなのでフカフカとのこと。
「VESCのモータードライバが便利」とのことだから、みんな覚えて帰るといいよ!デモと仕組みはこちら。
8位:musime
虫の視点に立つことで子ども達に自然を感じてもらうエデュテックトイ。自分の足を動かうとロボが動いたり、ロボの触覚になにか触れると自分が装着している触覚が動いたり、ロボの映像をVRで見られたり、自分の動きとムシ型ロボは連動しています。デモと構成図はこちら。
視点がかわると世界ってものすごく変わって見えますよねー。
10位:文庫の顔
本が好きなので本を浴びたいという欲求から生まれた、文庫本の表紙をただただ眺められるサイト。最新の文庫の情報が並んでたり、散りばめたり、棚に配置したり。出版社・年代で絞込もできます。 タイトルは国立国会図書館のサーチAPI、OpenBDで表紙の画像を取得。three.jsで立体感を出しています。
本への愛をとても感じられた作品で、共感している参加者も多数。
10位:Wearbo – 布製ウェアラブル文字入力デバイス
未来の布製ウェアラブル文字入力デバイス。布上になぞるように手書きをすることで任意の文字を入可能。導電性の布で静電容量変化を読み->M5Stick。
デモ動画が綺麗すぎて逆にすごさが伝わらない気がしましたが、実際に試してみると完成度も高くすばらしかったです。最近の大学生の技術力こわい。
以上が、MAリーグの決勝審査会に参加したエンジニアが選んだトップ10作品になります。
当日のつぶやきをみると、プレゼンを聞いていた参加者のナマの声が沢山みられ、雰囲気も感じられると思うので、是非みていただきたい。
そして写真もたくさん撮ってくれているので、気に入った写真あがれば、SNSアカウントのプロフィールなどで使ってくれると嬉しいです。
・togetter:「その場で新機能を追加するイベント。それがMAリーグ決勝 #ヒーローズリーグ」
・Flickr:MAリーグ2019決勝
蛇足
私が一番好きなイベントがこのMAリーグの決勝です。乾杯からはじまり、1日アルコール漬けにされ、プレゼンとコミュニケーション(タッチ&トライ)のサンドイッチのプログラム構成は、この場にいるだけで元気になる空気が溢れています。
発表が面白いのはもちろんなんですが、発表合間のコミュニケーション時間で、気になる技術の質問や、作品を試す参加者のみなさまの姿がほんと楽しそうなんです。
正直、能動的に他の人の作品をみようと思う人は少ないと思うんです。何かの発表に自分がいった「ついでに」その場で発表されている他の作品を見る。という半受動的に見るレベルだと思うんです。だから、他の作品を50作品も見るなんて、きっと「辛い」と思いながら参加された方も多かったのではないでしょうか。でも、コミュニケーションタイムでは、来たときより他の人の作品に興味をもっている自分がいなかったでしょうか?
実は個人的に、「能動的受動」にこそ計算外の出来事や予想外の運命と出会う確率は高いと思っています。モノづくりをしHLに応募する(能動)のあとについてきた出来事を受動(50作品の観覧)したことで、なにか「予想外の発見」と出会えていたらいいな。
そして、この場はいろんな方に支えられて開催が実現しています。いつも手伝ってくれているみんな、本当にありがとう。(写真をクリックするともっとたくさんの写真が見られます)
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