オレトク!それは誰のためでもない、自分の自分による自分のための作品。
11月23日(金)にMA2018ヒーローズ・リーグ「プロが選ぶヒーロー」の一つ「オレトクヒーロー」の部門賞決勝が開催されました。
オンライン審査により選出された10作品が、ヴァル研究所さんで行われた決勝審査会にてプレゼンバトル。
この部門賞が求めた作品は、「誰のためでもない、とにかく自分が欲しいものをこだわって作った」作品です。審査基準はギーク度(突き抜け度、こだわり度、完成度)のみ。とにかく、自分が欲しいものなので、プレゼン内容に関しては「???」となる事も多々あり、うまくブログで表現できるか不安ですが、作品を紹介していきたいと思います。
■オレトク選出作品
- Chocoball Detector
- 鳥籠の人工苔は電気琴鳥の夢をみるか
- 青い青春
- ウダー4.7
- プライベート
- 加速装置
- Pixela
- ぺぺぺルーレット
- 滅びの呪文で家庭を暗黒の世界に落とすIoTブレーカーキラー
- 先端発見!
■作品紹介
まずは、オレトクヒーローを受賞し、賞金10万円と、FESTAでのプレゼンを手に入れた作品の紹介です。
<オレトクヒーロー・授与作品>
先端発見!
日本の突端地形を機械学習により判定して、日本全国の突端な地形をデータ化。先端ポイントを数値化し、ランキングで表示もします。
東尋坊や天橋立など、有名な景勝地は数多く存在しますが、それ以外であまり知られていない突端地形を発見し、新たなる魅力の発見につながればと言う思いが込められ、作られています。
国土地理院のAPIは日本の値だけ変えすというAPIの特徴をうまく自分のサービスに利用していたり、独自のアルゴリズムを作成したり。机上でのこだわりもすごいですが、その数値を体感値と照らし合わせて検証するこだわり(足を使って全国の先端地に訪れる)も評価されたのだと思います。癒やされたいのか、新しい先端を発見したいのか、ただ単に好きなのか…。どの情熱が彼を突き動かしているのかは不明ですが、とにかく開発者の「オレトク」な情熱を感じた作品でした。
おめでとうございます。
続いて、惜しくもヒーローにはなれませんでしたが、審査員の方が迷われた2作品を紹介します。
ウダー4.7
単純で独特な演奏インターフェイスにより、高い演奏性と柔軟性を兼ね備えた電子楽器。音に関する説明のこだわり度すごいです。三角形を和音で把握することのできる楽器。などなど、この説明動画を見てください!個人的には「ド#」の扱いがひどい、が響きましたw。
審査員の「何か弾いて」というリクエストからの生演奏(Twitter右)を是非お聞きください。こんな楽器作っちゃうってすごい。こだわりの賜物ですね。
Pixela
commit以外の数値でも “草” を生やせるAPIサービス。いろんな数値を “草” として可視化して、日々の頑張り(ダイエットなどにも)に彩りを与えられます。表現もデモもとても「エンジニア」らしいもので、MAの参加者にはささるサービスなのではないでしょうか。その証拠に、VUIヒーローの作品には、すでにAPIとして利用されていました。草を生やすデモはこちら。
アイデア次第でいろんなものとMashupできるこの作品は、「APIヒーロー」に輝いた作品でもあります。(MA2018を代表する15作品)
の3作品だけでも、それぞれのこだわり度がすごいですよね。ただですね、他の作品だって負けてないんです。それぞれが、それぞれで違う尖り方を見せているんです。オレトク決勝に残った作品は、他の部門賞を獲得した作品や、技術の無駄遣い作品に選ばれた作品などがたくさん選ばれていました。なので、ここからも作品もぶっちゃけすごいす。狂ってる作品が好きなアナタのために紹介します。
Chocoball Detector
チョコボールを開封して写真を撮れば、写真から自動で個数をカウントするWebアプリ。題材はチョコボールですが、統計学的な分析もしていていろんなことがわかりそうでした。とってもシンプルなデモはこちら。
この作品は、ヘンタイ度が評価され「ルーキーヒーロー」に輝いた作品でもあります。(MA2018を代表する15作品)
鳥籠の人工苔は電気琴鳥の夢をみるか
機械音を発する人工苔との対話を通し,地球外生命体とのコミュニケーション方法を習得するためのデバイス。苔は、ランダムに音声を返しているわけではなく、ニューラルネットワークで会話を学習させてます。苔との会話を是非聞いてみてください。こんにちわって言ってます。
こちらは、技術の無駄遣い3作品に選ばれた作品でもあります(MA2018を代表する15作品)。
青い青春
micro:bitで傾きを取りキスポジションを感知すると、コントローラ側のmicro:bitがマシュマロくちびるを動かしキス。マシュマロくちびるが離れりゃったりしてじらしつつ、ソレノイドが、二つのめがねをカチャカチャ当て、淡い青春を再現する作品。
この作品は、技術の無駄遣い作品で圧倒的1位に選ばれた作品です。(MA2018を代表する15作品)。きっとmicro:bitとソレノイドの正しい使い方のは…ず。
プライベート
コールサイン(呼出符号)と音声コマンド(VUI)でドローン3機を同時に個別操縦できるようにした作品。この作品は、ロボットたちと共生する近未来の世界を前提に作られた作品であり、「近未来の世界の予想イメージ(想像の産物、空想の世界)」なのです。
デモをご覧ください。完全に本人が楽しんでる。
この狂気加減。この独特な世界観。ほんと好きです。にわかにこの方のファンが増えているとかいないとかw。
加速装置
加速したいときにエアコンを切る。MT車の進化を自分で行った作品。「加速装置」と発話すると音声認識し、エアコンが切れます。ク、クルマ改造しちゃったんですよねw。
ぺぺぺルーレット
以前MAでよく使われていたルーレットアプリがサービス終了になったので、それを再現。どんなアプリかはこちらの動画を見てください。
パパパルーレットの根源などを調べ、理解をし、再現をした、そのこだわり。元の作品を知っていることもあり個人的にかなりやられました。
新しいものを生み出すだけでなく、好きだったものがなくなったから自分で作る。という、MAの新しい境地を見せてもらえた気もしました。
パパパルーレットの元開発者の方に見て欲しい。
滅びの呪文で家庭を暗黒の世界に落とすIoTブレーカーキラー
「OK Google、パルス!」と叫ぶと、obnizがサーボを動かし、サーボに押されてブレーカーに繋がれた重りが落ち、重りの位置エネルギーでブレーカーを引っ張って落とします。
ピタゴラスイッチ的なインターフェースが、開発だけでなく、子供と一緒に仕組みも楽しむこともできて「ものづくり」を親子で楽しめる感があってすごくいいなと思った作品でした。しかし、そのことが問題点に!「問題点:子供が呪文をすでに知っている(子供にブレーカーを落とされる)」
■審査員紹介
オレトク部門賞の審査員は、毎年MAの決勝審査員を努めていたお二人と、MA理事の伴野さんの3名でした。
- 山本 大策氏(株式会社グローバルウェイ Globalway Lab 室長)
- 久下 玄氏(Coiney,inc/tsug,LLC プロダクトストラテジスト)
- 伴野 智樹氏(一般社団法人MA 理事)
この部門賞で発表された、それぞれのこだわりについて理解し、全てにコメントできる審査員の方々の知識量は流石でした。そして、MAのことをよくわかっていらっしゃる。私はこの審査員のみなさまに「個人賞」を送りたかったです。(送り忘れてしまった)
イベント風景
オレトク決勝は乾杯から始まり、プレゼン開始。プレゼン終了後のタッチ&トライでそれぞれの作品を楽しんでいました。(タッチ&トライの時間も審査に入ります)
イベントの様子は、以下もみていただくと、さらにさらに雰囲気をわかっていただけると思います。
・つぶやきまとめ(Togetter)
・写真(Flickr)
最後はみんなで集合写真。お疲れ様でした!
■蛇足
今年初めて作られた「オレトク」ヒーロー。予想どおりヘンタイな作品ばかりで、純粋なヘンタイホイホイな部門賞でした。個人的には、この誰のためでもなく、自分がほしいと思った作品を作る「オレトク」という考え方が、MAの真髄だとも思ってます。
ProtoPedia上や作品を触るだけではわからない「こだわり」部分に関してのプレゼンはやはり面白かった。
その中でもウダーのこだわりはやっぱりすごかった。歴史も深いのでプレゼンの内容も、審査員への返答内容も、奥が深かった。他にも、Chocoball Detectorのデータから読む統計学的な話があったり、苔作品のプレゼンでは対話の本質が語られたり、ぺぺぺルーレットでは元作品の分析しまくっていたり、先端発見では足で検証した結果が話されたり。
こだわりを話している人の顔、本当に好きです。私の大好きなMAがここにありました。
ただ、本音をいうと、もっともっとこだわりを話してほしかった。個人的わがままですが、審査員の質問にぶれてほしくない!審査員の質問の上をいくこだわりの返答を返して欲しい。なんて思っちゃいました。
そんな、ProtoPedia上や作品を触るだけではわからない「こだわり」を聞いて嬉しかったことがあります。それは、ぺぺぺルーレットの開発者である佐藤さんのこの言葉です。
「これまでルーレットによって繋がれた縁もある、それを再現したかった」
パパパルーレットでランダムに利用するAPIをきめアイデアを考えてもらうというルールにより、本当にいろいろなセレンディピティが起こった気がします。サービスだけでなく、そのサービスが生み出していた「価値」をも再現したいと言った佐藤さん。そこは、ProtoPedia上では理解できなかった。プレゼンを聞けてよかったです。
今回は決勝に残った10作品のこだわりを聞けることができましたが、本当はすべての作品について、それぞれの「こだわり」があるはず。
それらのこだわりを聞ける機会をもっと増やしていきたいです。
実は毎年、開発秘話を話してくれるイベントが福井で開催されています
・2015年:【イベントレポート】MashupSummit (マッシュアップ・サミット) in FUKUI 2015 #MA11
・2016年:【開発秘話】MashupSummit in Fukui #MA12
・2017年:LOVE!ちょっとフツーじゃないものづくり!/MashupSummit2017 in Fukui(前編)
今年は若干いつもとプログラム内容が違いますが、MA枠はいつもどおりあります。お時間ある方はぜひ来てください。今年も楽しみです。
2019年3月16日開催「Mashup Summit in FUKUI 2019 ~今、ものづくりに必要なコトとは?~」
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