Mashup Awardsのプロが選ぶヒーロー賞のイベントレポート、まずはVUIヒーローです。
LINE Clova、Google Home、Amazon Alexaを始めとしたスマートスピーカーに代表されるVUIを用いた作品の中でMAとしての代表を決めるプロが選ぶヒーロー賞、副賞としては賞金10万円とFESTAでの発表権利が与えられます。そんなVUIヒーローの審査基準は以下。
・チャレンジ度 (ぶっ飛び度、変化球、独創性、アイデア)
・ギーク度 (突き抜け度、こだわり度、完成度)
・VUI度 (音声活用、対話設計、必然性)
このVUIヒーロー決勝では、MAらしい自分のやりたい課題解決、スマートスピーカーにとらわれない発想の新しいVUIを想像するにふさわしい10作品が集まりました。
- ①LINE Clovaを「ねえ」だけでウェイク!!
- ②自宅で家族と楽しく料理を学べるVUIスマホアプリFamCook
- ③言葉の計算
- ④AIQue
- ⑤だらしないマネージャを救うスマートスピーカアプリ「けいこさん(仮)」
- ⑥らくらく移動ちゃん
- ⑦魔法の本
- ⑧加速装置
- ⑨TaVision たびじょんメガネ
- ⑩家族のお手伝い帳
それでは、これらの作品を紹介していきましょう。
※MashupAwards2018のVUI部門賞は「スマートスピーカーを遊びたおす会 & html5j エンタメ技術部」さんにパートナーとして協力頂いております。
VUIヒーロー
だらしないマネージャを救うスマートスピーカアプリ「けいこさん(仮)」
稟議・勤怠…、迫りくる大量の承認依頼に追われるめんどくさがり屋なマネージャのためのスマートスピーカアプリ。たくさん来る承認依頼を「ながら承認」という新しいスタイルで救済してくれます。
仕組みはこんな感じ。
スマートスピーカーの発話速度も高速に振っているようでスピーディに承認を行っている様子がとてもシュールでした。怠惰を技術で解決するという姿勢がとてもエンジニアらしくてMA的でもあって素晴らしかったです。
VUIヒーロー、おめでとうございます!
審査員
今回のVUIヒーローは、こちらのの三名の方に選考いただきました。ありがとうございました。
決勝進出作品
惜しくもヒーローを逃した他の作品も特徴的で、MAらしい開発に取り組んだ作品ばかりでした。他のすべての作品も発表順に紹介しましょう。
LINE Clovaを「ねえ」だけでウェイク!!
スマートスピーカーには「Clova」「OK, Google」のような呼びかけで起動させる「ウェイクワード」がつきもの。そんなウェイクワードを「ねぇ」のような任意の言葉に差し替えてしまうハックです。
仕組みはこんな感じ。
別のVUIからIFTTT経由で正式なウェイクワードをClovaにつけたイヤホンから出してるんですね。
自宅で家族と楽しく料理を学べるVUIスマホアプリFamCook
自分のペースで料理をさせてくれる、音声ベースで料理をナビしてくれるレシピアプリです。
仕組みは左図。動画にも対応して、食材の切り方なども確認できる仕上がりでした。Amazon Echo Showを始めとしてスマートスピーカーにも画面が搭載されたものが出てきましたが、動画で気軽に確認できる実装ができるのはスマートフォンアプリの強みですね。
言葉の計算
「おじいちゃん – 男 + 女 = おばあちゃん」など、文字通り言葉を計算した結果を当てるクイズを出題するClovaスキルです。不正解をしてしまうと罰ゲームとして年末に流れてくるあの効果音とともにケツバットがお見舞いされます。
デモで出題された問題はかなりテクニカルで相当難しかったのですが、この出題にはWord2Vecを用いていて単語のクラスタリングを元に出しているみたいですね。
AIQue
たとえば「東京」と書かれていたらその言葉をスピーカースピーカーに言わせるように「日本の首都は?」と問いかける。そんなお題をスマートスピーカーに喋らせるように考えて質問をするスマートスピーカーの特徴を活かしたカードゲームです。
周りの参加者はスマートスピーカーのアプリ・スキルといったスマートスピーカーをハックの舞台にしていたのですが、AIQueはスマートスピーカーそのもののハックではなく、特徴を最大限利用したものづくりで、とても印象深かったです。
らくらく移動ちゃん
どこの駅、何番のホームに居ると伝えるだけで、エレベータの場所や授乳室の場所などを音声で教えてくれるスマホが使えない人のためのサービスです。
Xperia Ear Duoを使ってVUIとのやり取りを実現しています。現状だと授乳室の場所といったデータは新宿駅を歩き回って集めた人力のデータということで、この辺のデータの収集が課題というお話でした。
魔法の本
持ち運んで使うClovaスキル。Clovaに魔導書アタッチメントに装着して、雰囲気たっぷりに魔法を扱うことができます。
レベリングが仕込まれていてずっと遊んでいると新しい魔法が使えるようになったりもしていて、とにかく凝っていてすごいなと思いました。お子さんがリモートでデモに参加していたのですが、本当に子供が好きそうなものを実現していて素晴らしかったで
加速装置
夏場の運転、エアコンを付けたいがつけると車が加速しない…、そんな葛藤をVUIで打ち破るスマートスピーカーアプリです。加速装置と叫んで起動してから、アクセルを踏んでいる間エアコンをオフにしてくれます。
実際に車のエアコン配線をリレーでつなぎ直す大規模ハック。エアコンだけで車の動力もろもろ自体には手が入っていないので車検は大丈夫みたいです。
こちらの作品は審査員特別賞を受賞していました。おめでとうございます!
TaVision たびじょんメガネ
翻訳こんにゃくの再実装。RaspberryPi Zeroをメインとしたシステムを仕込んだメガネで外国語の見る、聞く、話すを翻訳して助けてくれます。
VUIの枠を飛び出てGoogle AIYをベースにハードまで作っちゃった作品でした。なんと作り方はオープンソースでGitHubに公開されており、RaspberryPi周り以外の部品は100均ということで安価に作成できるとのこと。気になる方はhttps://github.com/ktrips/smart/を御覧ください。
家族のお手伝い帳
子供にお手伝いを続けてもらう、そんな案外難しいことをお手伝いをすると貯まるポイントで仕掛けを用意してサポートするClovaスキルです。
デジタル一辺倒なアイディアに偏りがちなところを紙という形に残る手段を融合してきたところが素晴らしかったです。LINEと簡単に連携できるのはLINE Clovaの強みですね。
以上がVUIヒーローの審査会で発表された全10作品でした。
現場の様子
発表が終わると、懇親会とタッチアンドトライが開催され、皆さんお互いの作品を触り合いながら個人賞をお渡ししていて、とても良い時間が流れていました。
最後に、集合写真を撮って終了です。皆さん、本当にお疲れ様でした!
イベントの様子は、以下からも見ることができます、ぜひご覧ください。
Flickr -> https://flic.kr/s/aHskMVD4vh
Togetter -> https://togetter.com/li/1291209
蛇足
はじめてのVUI部門ということで、一体どんな作品が集まるんだろうと思っていたのですが、スマートスピーカーをハックしたものからそもそもスマートスピーカーには手を入れず使い方をハックしたもの、VUIを飛び出してハードを作っちゃったり車を改造しちゃったものといろんな形で色んな思いを実現していて、とてもMAらしいなぁと思っていました。VUIは今流行りのインターフェイスで、その代表としてスマートスピーカーが存在していると思うのですが、そのスマートスピーカーの使い方にとらわれずいろんな方向・発想からチャレンジをしているのが素直にすごいと思いました。
いっぱい買ったもののタンスの肥やしや置物と化していたり、ただ天気を聞くだけの機械になりつつある我が家のスマートスピーカーももうちょっとちゃんと使ってあげたいなー…と思ったりもしました。各スマートスピーカーそれぞれがアプリ・スキルの開発をしやすいように体制が整っているのでぜひ気軽に始めて行きましょう。
by e10dokup
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