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MIZUHO.HACK2016

【MIZUHO.HACKレポート】Pepperを利用した新しい銀行

2016.05.24

ブロックチェーン、Amazonレンディングなどテクノロジーの大波の中、銀行はテクノロジーを味方にできるか!?

5月21-22日(土-日)に行われたみずほ銀行などが主催したハッカソン「MIZUHO.HACK」の運営協力させていただきましたので、そのレポートになります。

最近では、ビットコインなどの普及により銀行口座をもたない若者が増えたり、購買データを元に短期間で融資できるAmazon レンディングが始まったり、金融業界にもテクノロジーの波が襲いかかっています。
そんな危機感も含め、インプットタイムでは銀行三大業務「預金|決済|貸出」におけるそれぞれの課題をシェアいただきました。
・預金…貯蓄から投資への加速|口座数の増加|若年層エンゲージメントの向上
・決済…リアルタイム性|キャッシュレス|低コスト
・貸出…審査時間短縮|貸出先の拡大|新たな審査モデル構築

そして昨今、お客様との接点は、店舗などの対面チャネルから、PCなどでの非対面チャネルでのサービスが増えています。しかし、Pepperは両面をもっているハイブリッドチャネルです。また、銀行の無機質で入りづらくて相談しずらいイメージを変えてくれる存在なのではないか?!という期待をもち、「Pepperを利用した新しい銀行」というテーマでのハッカソンを開催したそうです。

そんな期待の中開かれたMIZUHO.HACK。どんな作品が作られたでしょうか?
参加者は80名にもおよび、18作品が作られました。

今回の最優秀賞は、こちらの審査基準を元に5名の審査員の方にお願いしました。

①斬新性(独自性のあるアプリ、オリジナリティ)

②継続性(1回だけでなく、飽きずに何度も繰り返し利用したくなるアプリ)

③完成度(アプリの出来栄え)
④新しい銀行マンとしての評価(実際の銀行サービスとして活用できるアプリ)

審査をお願いしたみなさまです。

右から
・池澤あやか氏(タレント)
・西村賢氏(TechCrunch Japan 編集長)
・落合陽一氏(メディアアーティスト)
・吉田健一氏(ソフトバンクロボティクス株式会社 事業推進本部長)
・阿部 展久氏(株式会社みずほフィナンシャルグループ)

それでは、今回のハッカソンで作られた作品を、最優秀作品から紹介していきたいと思います。

■発表作品

<最優秀賞>
⑬街角のペッパーが客をキャッチするみずほ銀行ペッパー支店 by グローリー
http://hacklog.jp/works/47957
こちらのサービスは、将来、あらゆるところ(介護施設、コンビニ、病院、駅など)に銀行サービスを提供するPepperがいることを想定して開発。Peppreに話しかけ、顔認識をした後に合言葉いうと、お金を引きだすことができます。お金は後日みずほ銀行が自宅まで届けてくれます。
また、雑談から金融商品のおすすめなどもしてくれます。デモでは、年齢の割に貯蓄額が少ない女性に対して「お姉さん、貯蓄額が平均より低いよ。」っと投資をすすめていました。専門性の高い質問には、オペレータにつなぎ、対応する機能をTwilioとBuluemixを使って対応。


↓貯蓄額を伝えると、同年齢の人に対して少なすぎるので、投資をおすすめされるというデモ。

最優秀賞おめでとうございます!!賞金20万円ゲットです!こちらの作品はTwilio賞も獲得しました。

技術の実装力も素晴らしかったですが、Pepperの「人間がいいずらいこともいえる」という特徴もうまくいかせていたと思います。

今回の審査基準で受賞された作品は以上です。


<MIZUHO賞>
続いてはMIZUHO賞です。MIZUHO賞には、銀行店舗での展示権が与えられる、主催者でもある「みずほグループ」の企業賞になります。こちらの賞は3作品が受賞しました。

④GreatTeacherPepper by PepperInvestmentSchool
http://hacklog.jp/works/47977
まずはPepperに株式のことについて教わります。レッスンを受けるとQRコードが発行され、それをスマホで読み込むとPepperのLINEとつながり、そのあとはBotと会話することで、オススメの株を教えくれたり、仮想株を購入したりできます。最後は実際にシュミレートで購入した株主優待が届くとのこと。


↓勉強したらQRコードが表示され、LINEbotで投資完了。

MIZUHO賞おめでとうございます。
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⑧パンピー by おおさきロボ同好会
http://hacklog.jp/works/47970
ペッパーが “お客様になって” で銀行のあまり知られていないサービスを見せていくというサービス。
デモでは、Pepperが「中を見に来ただけなんですが大丈夫ですか?」といった聞きづらいことをきいてくれたり、「雨が降っていますが傘を借りられますか?」とあまり知られていないサービスを告知したり。


↓雨が降っていたので、銀行に傘を借りに行くPepperのデモ

MIZUHO賞おめでとうございます。こちらの作品はDataspider賞も獲得しました。
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Pepperを使って行員やATMの変わりをさせるサービスは多いものの、お客さんの変わりをするという視点は素晴らしいなと思いました。また、用事がなくてもいいので、夏になったら暑い日には涼みに銀行に行きましょう!


⑱思いで預金 OMOYO by圧倒的挑戦(USE)
http://hacklog.jp/works/47942
「お金」だけでなく「思い出」も銀行に預けるというサービス。お金を預ける際に、Pepperと会話し、お金にまつわる思い出も預けます。
デモでは、子どものために口座を開設した夫婦と、20年後にその子どもがお金をおろすシーンを実演。

MIZUHO賞おめでとうございます。こちらの作品はkintone賞も獲得しました。
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他の作品もいいアイデアがたくさんありました。
自分にあったふるさと納税を教えてくれたり、株価の動きをPepperが感情的に教えてくれたり、子どもの頃から銀行と親しめるサービスがあったりと、「あったらいいな」と思える作品多数です!
発表順に全作品を紹介いたします。

①無駄なペッパーここにいます by チーム ななし
http://hacklog.jp/works/47981
日常のお堅いイメージの銀行におっちょこちょいだけど憎めないPepperが、お待ちしているお客様を和やかにする演出を提供するサービス。PepperにMESHをもたせ、その腕の角度によって、行員を呼び出す機能も。


③未来の銀行に必要なサービス by とのさまラボ
http://hacklog.jp/works/47978
未来の銀行に必要なサービスとして、ロボット専用の口座を考えました。買い物はもちろん、資産運用もまかせます。


⑤防犯もするもん ぺ
http://hacklog.jp/works/47976
ペッパーが搭載する銀行業務の1つとしての防犯機能。Pepperに防犯対策の一つとして「振り込み詐欺の防止」を搭載。
↓顔認識をしてTwilioで電話をかけるデモ


⑥バーチャル・ロボウォレット with ぬくもりコイン by 赤い彗星
http://hacklog.jp/works/47975
ロボウォレットによるぬくもりを届ける支援活動。支援者も自分が送った義援金がどのような人に届いたか知りたいものです。被災者からの御礼が届けばここにも「ぬくもり」が産まれます。


こちらの作品は、AITalk賞とIBM賞のW受賞です。おめでとうとざいます。
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⑦My Pepper by Team My Pepper
http://hacklog.jp/works/47973
スマホアプリで普段から店舗外でPepperとコミュニケーションを重ねることで、Pepperがあなたはどんな人かを学習しあなたのことをよく知っているPepperがあなたに応対してくれます。


↓Pepper側のデモ。スマホですでにコミュニケーションを重ねているので、孫の話をしてきます。


⑨FPepper by 台場エレキテル連合
http://hacklog.jp/works/47969
ふるさと納税や助成金や募金など、興味はあるけどなかなか導入に至らなかったサービスの手助けをPepperがしてくれます。店頭で「綺麗なお姉さーん」と話しかけてくれ、そこから会話がはじまります。興味のあることがわかれば、あとはbotをつかって自分に合った情報を提供してくれます。


↓LINEbotからの質問に答えると、おすすめのふるさと納税を教えてくれるデモ。


⑩MIZUHO QUEST by ティーアイエスかぶしきがいしゃ
http://hacklog.jp/works/47962
「MIZUHO QUEST」は地域経済圏プラットフォームとしてのソーシャルゲームです。


↓顔認証のデモ。


⑪Pepa Pepa Memorial by チームペ
http://hacklog.jp/works/47961
直接対話を重ねることで、親密度を上昇させることができる友情(恋愛?)シミュレーションゲーム。それによって取引額の上昇も!?

こちらの作品はMONO賞を獲得しました。
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⑫あれっ?どうしたのPepper (by TKB4)
http://hacklog.jp/works/47959
株価の動向を気にするPepperが、今の気持ちをツイート! お客様がツイートに興味を持って銀行に行くと、Pepperが感情むき出しで応答してくれます。



↓株価があがってテンションが高いと話しかけてくるPepper

(意外とテンション低かったのは内緒ね)


⑬ふるさと大使ペッパー
http://hacklog.jp/works/47958
社会貢献をテーマにした新しい銀行員ペッパー


⑮となりのPepper~ 個人に合わせた 最高のホスピタリティーを ~ by 能率戦隊ジェーマスン
http://hacklog.jp/works/47953
顧客向け来店予約スマホアプリでPepperから顧客とコミニケーション。顧客が店舗に来店してからサービスを受けるまでの「おもてなし」と「利便性」を提供します。


⑯KODOMO銀行 BY マッシュ&ルーム
http://hacklog.jp/works/47947
子どもが家でお手伝いをすると、親がWEB上で「みずほポイント」を発行し、子どもにはQRコード付きの「みずほコイン」を渡します。そして銀行にいるPepperにQRコードをかざすと、子どもの口座にお小遣いが振り込まれます。実際には、親の口座から子どもの口座へ現金として振り込まれます。
審査員からは、「お母さん忙しいから、銀行のPepperと遊んでおいで!って機能にしても面白いのに」というアドバスもでていました。

こちらの作品はPepper賞を獲得しました。おめでとうございます。
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家でお手伝いすると、現金支給ではなく銀行振り込みって新しいですね。(私は現金支給がいい!)


⑰僕 と みずほ と ペッパー と
http://hacklog.jp/works/47944
預金者の顔をPepperが覚えて、「銀行」と「人」の関係を新しくしようというサービス。多くの預金者をどこの支店のPepperでも見分けられるようにしました。


②超フューチャー型銀行 by Chemiction
http://hacklog.jp/works/47979
ATMだけを利用するようなお客様に対して、他の銀行サービスをペッパーが進めてくれます。入り口のPepperと受付のPepperを連携することで、スムーズに窓口に繋げます。
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こちらの作品はQuick賞を獲得しました。おめでとうございます。
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今回のハッカソンで発表された作品は以上です。
気になる作品はありましたか?

最後に審査員のみなさまからの講評をいただきましたので印象に残ったものだけ紹介します。
●ソフトバンクロボティクス株式会社 吉田健一氏(左)

「Pepperの作品を沢山見てきましたが、いままではPepperのアプリを作りがちでした。しかし今日はサービスの中の一部としての利用であり、手段としての利用でした。他のサービスとうまく組み合わせており、それが作品を進化させていた気がします。」
●TechCrunch Japan 編集長 西村賢氏(右)
「Pepperのハッカソンの審査員をいくつかしていますが、今回はいつもと違いました。botを組み合わせたりなど、様々な組み合わせによっていつもと違うものができてました。イノベーションは違うものを組み合わせることなんだと改めて感じました。」

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■イベント風景

ここからは、イベントの風景をお届けします。会場はこんな感じ。

・サポート企業のみなさま
今回は、技術サポートとして、7社のみなさまにご協力いただきました。
なんとQUICKさんは、今回初めて外部にAPIを公開したそうです。

Dataspider(株式会社アプレッソ)…GUIでの直観的な操作のみで、様々なデータやシステムを「つなぐ」ことができるソフトウェア
kintone(サイボウズ株式会社)…クラウド基盤で提供されているコミュニケーション型のデータベースサービス
Twilio(株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ)…様々な通信チャネルを連携できるコミュニケーションAPIであり、ビデオ、チャット、電話、SMSなどの通信手段をアプリケーションに簡単に埋め込むことが可能
日本語音声合成 AITalkWebAPI(株式会社エーアイ)…より人間らしく自然な音声で自由に音声合成をすることが可能な、高品質音声合成エンジンのAPI
IBM Bluemix(日本アイ・ビー・エム株式会社)…アプリの開発環境をわずか数分で構築、開発者は開発に集中できる、そんな環境を提供する「今」注目のサービス
QUICK APIs(株式会社QUICK)…株価・為替レート等のマーケットデータ、投資信託の分析情報、資産運用を体感するシミュレーションなどへの自在なアクセスを実現
Pepper(ソフトバンクロボティクス)

サポート技術の紹介とは別で、ソフトバンクロボティクスとDataSpiderに関してはハンズオンも開催。

DataSpiderの赤色軍団は、ハッキングタイム中もフル稼働でしたね!!

他のサポータの方たちもみんな真剣な眼差しでレクチャーしてます。

みんな真剣なハッキングタイム

食事が唯一の癒やしだったかな?

そして、1日目の夜には、大きな冷蔵庫持参でエナジードリンクを投入です。

2日目の朝はドナルド体操ではじまります!そして残り時間は約5時間。

最後の追い込みはみんなで同じ画面を見つめたり、デモ動画を撮影したり。

発表は、記者の方、見学者の方も増えて100名近くの人の前でのプレゼンでした。

1組5分の発表を18組!!審査員からの質問も入ります。

発表が終われば、あとは飲んで結果を待つのみ!おつかれさま!かんぱーい

みんなホッとした表情ですね。

審査がおわり、結果発表です。最優秀賞発表の瞬間!!

最後はみんなで集合写真です。2日間おつかれさまでした!
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蛇足

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個人的には、発表作品の中では「パンピー」がお気に入りでした。
ちゃんとデモできていたし、単純に知らない銀行のサービスを知れるなーっとイメージしやすかったです。また、待ち時間って暇じゃないですか。しかも銀行って静か。絶好の接触ポイントなんですよね。でも、話しかけられたりするのはちょっと面倒。その時にPepperが動いているのを見てるだけってすごくいいなと思いました。

また、審査員の吉田さんと西村さんもおっしゃっていましたが、今回はいつものPepperハッカソンとはちょっと違った作品が多かった気がします。Pepperが必須のハッカソンとなると、Pepperのアプリを作りがち。でも今回は、Pepperを最初の接触ポイントとして利用するなど、サービスの「一部」として利用するサービスが多かった印象です。botとの組み合わせが多かったのはトレンドかな?
いつも以上に、Pepperの可能性を引き出したハッカソンだったように思います。

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