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TOP10|HL2020

マイコン内蔵の「清掃楽器」が2020年のヒーローに〜トップ10作品紹介〜

2020.12.16

技術で具現化されたアイデア作品群は、「体験してみたい!見てみたい!」欲があふれだす

この記事は、MAヒーローズ・リーグ Advent Calendar 2020の12日目の記事になります。

ヒーローズ・リーグという名称に変わって2年目となる2020年度。前身であるMashupAwardsと通年で数えたら、15年目となる老舗の開発コンテストのトップ10作品紹介ブログです。
2020年度の決勝は例年とは違い、選出された約40作品の動画をコメンテーターがみながらコメントしてき、YouTubeで流すスタイル。(ProtoOutDemoDayと共催で開催されました。)
一方で、受賞作品を使ったビンゴ企画「ヒーローズ・ビンゴ」も並行して開催し、参加者のみなさまに「ヒーローになりそうな作品」を登録してもらいました。
実はそのビンゴが参加者投票になっており、2020年のヒーローが決定しました。

今年のオンラインヒーロー(+ルーキーヒーロー)とともに、上位トップ10に選ばれた入賞作品を紹介したいと思います。


オンラインヒーロー

決勝におけるビンゴ得票数にてヒーローに選出されたのはこちらの作品です。

Star ☆ Jam Street ~清掃楽器音楽夢想~

音と光を演奏できるほうきギター、はたきドラムをはじめとする”清掃楽器”による、鑑賞者飛び入り参加型のインタラクティブパフォーマンスアート作品

※動画再生はこちらから

「音によるコミュニケーション」「心の動きこそが作品の核」といいきっているこの作品。
「かっこよく上手に演奏しなければ」という感情は掃除用具の見た目により薄れて行き、人は音に対して自由になって行く。
自由な心で演奏している中、他の人が音で会話してくる。
など、人間の本能に訴えかけている作品に感じ、体験設計がはんぱない作品だと感じました。

センサーとマイコンを内蔵の清掃楽器は、3Dプリンタやホームセンターの部材を使い一台一台手作りで丁寧に仕上げ、本物の掃除用具に近づくよう設計したとのこと。
自動演奏はあえてつけていないなど、制作面でも様々なこだわりを感じます。

とにかく動画を見てください。きっと「やってみたい」と思うはずです。

pcapバトラーZ

pcapファイル(ネットワークトラフィックを監視するためにアプリケーションで使用されるファイル形式)をつかったオンライン対戦ゲーム。

※動画再生はこちらから

マニアックな「pcapファイル」を題材に、考え抜かれたゲーム設計。
スイッチサイエンスの菊池さんに「こういう作品こそHLならではですよねー。PCAP持ってる人は0.1%くらいしかいないのに、無駄にこだわりポイント盛々がすごい。」といわしめた作品です。
技術の無駄使い?と思いきや、コメンテータの湯村さんから、「ネットワーク教材として大学で使いたい」という真面目な活用方法の提案も!?

Diorama Shooting

ゲーム空間(Unity)と実空間(3Dプリンタ)の2つの空間を構築し、映像(TouchDesigner)と動き(toio)のよって融合したシューティングゲーム

※動画再生はこちらから

アナログの特徴(モノとしての存在感)とデジタルの特徴(現実では不可能な演出)を新しい形で融合させたこの作品。
デモにはありませんでしたが、建物にもtoioを仕込んでおり、障害物も動くことができるアイデアにも「すごい」との声が上がっていました。

「どこいけばできますか?」「無限に子供がお金払う親には危ないヤツや」と大絶賛でした。

ルーキーヒーロー

ルーキーヒーローは、過去にコンテストなどでの受賞経験がない人の中から、ビンゴ得票数が一番多かった作品が選ばれました。

AnyMo(エニモ)

どんなものもモビリティにする走行ユニット

※動画再生はこちらから

「◯◯をモビリティにしたい」というものはよく聞きますが、「足さえあれば何でもモビリティにできる」という汎用性に「すごい」と評価が集まったこの作品。
「これが自動で動いたら嬉しいな」という新しい発想や、「平日はおじいちゃん、休日は子供に」といった新しい使い方など、とても未来を感じる作品でした。
XUI賞受賞作品でもあります。

TOP10入賞作品

惜しくもヒーローを逃したものの、参加者のみなさまの支持が強かった作品はこちらです。

エモー書音

※動画再生はこちらから

家族・知人との会話やメッセージのやり取りから感情分析を行い、喜怒哀楽の度合いに応じた格言を毛筆で書いているような演出と共に額縁に収まった表示器にリアルタイムで出力。

いろんな技術をMashupしたハッカソン発らしい作品です。
VUI賞受賞作品でもあります。

顔ホッケー

※動画再生はこちらから

web会議ツールで遊べる、ホッケーゲーム。

オンラインの窮屈さを直接的に破壊して心理的な距離までもちかづける奇策であり、オフラインではできないオンラインならではという点も評価されていました。

TRICK SCOOP

※動画再生はこちらから

「TRICK SCOOP」は「何かのいる気配」を探して、その現象の原因をカメラに収める、体験型アトラクション。

たくさんの技術や制作の工夫がすごい作品なんですが、それを意識させることなく楽しめる体験設計が、素晴らしすぎる作品です。
アイデア、完成度、体験デザインどれも高得点なんじゃないでしょうか。

リモートdeキー暴動?

※画像クリックで紹介動画へリンクします

自動で動くキーボード。

ピアノの自動演奏はみたことあるけど、勝手に動くキーボードは見たことない!
一見ネタにも見えるこの作品ですが、他の審査会では、アート作品としての可能性についても触れられていました。

個人的には、サーボモータと糸でつくられた構成にHLらしさを感じてしまいました。
IoT賞受賞作品でもあります。

X(r/n)os

※動画はこちらから

時間の連続性と時刻の離散性という時の二面性を同時に現した電気仕掛けの時計。

時が水の中に消えるという表現、秒針を波紋で表現するなど、ずっと見てられる、かっこいいと大絶賛。そしてメカニック面でも素敵な作品。

オノマトン !

※動画再生はこちらから

身の回りのいろんなものの音を表現する “オノマトペ”。そんな”オノマトペ” を 想像して、探して、遊ぶ、toioが入っている小槌型の知育玩具。

音を鳴らすだけでなく、ゲームにまでもっていっているところがすごい。とのコメントも。

Glowing Air-Bubble Clock

※動画再生はこちらから

気泡をハックした作品。
液中を煌めきながら上昇する気泡群が、多様な模様を織りなし時折時刻を表示します。

高級ラウンジのインテリアとして売れそう(なぐらいかっこいい)とのコメントも。
アイデアは30年前で、技術の民主化によって実現できたという裏話も興味深いものでした。

以上が、決勝で選ばれたトップ10作品紹介になります。

イベントの様子

すべての作品はこちらの動画から見ることができます。
まずは気軽に「ながら見」してみてください。 ただ、面白い作品が多くて、なかなか作業がはかどらなくなるやもですが、その点はご了承ください。
たくさんのアイデアや技術が凝縮されてます。

当日のつぶやきまとめも、視聴者の感想多めなので、見ていて楽しいですよ。
・togetter(多彩なアイデアや技術が凝縮されてるヒーローズ・リーグオンライン2020決勝審査会 #ヒーローズリーグ

蛇足

決勝は動画をみながらのコメントという形式でしたが、予選会やコミュニティ賞の決勝などはオンラインで開発者の方に発表いただく形式で開催されました。
発表の形式によって、有利不利があると思いますが、いろんな発表形式をためし、それらの特徴を感じ、来年に活かしたいと挑戦した年だった気がします。

その中でも、オンライン発表でなければ実現できないものがいくつかみれたのは面白かったです。
ハイドロボンバー・・・タブレットを的にする水鉄砲射的というこの作品は、自宅のお風呂でデモされました
顔ホッケーcoz・・・zoomを利用作品は、デモに有利(デモ環境が整ってる)
くまりんCHIRO・・・ロボット作品は、ロボが発表をすることで、発表そのものがデモになる(人の発表時、聞いてる姿もデモになる)

そして、今回のYouTube配信型の決勝の形で一番好評だったのは、受賞作品をつかって開催したビンゴの生電話なんじゃないでしょうか。
Twitterの最後の方のコメント見ると、予想以上に楽しんでいただけたような気がします。
zoomとYouTube間の遅延によって、ドキドキ感マシマシになるという体験は、オンラインならではだったのではないでしょうか?

by まなみ

この記事は、MAヒーローズ・リーグ Advent Calendar 2020の12日目の記事になります。

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