すごい技術力の作品から、すごい狂ったアイデアの作品まで。「いますぐ欲しい!」と思える作品から、技術の無駄遣いの作品まで。
みんなが選ぶヒーロー決勝。個人的な意見になりますが、このイベントが、MAで一番楽しみなイベントです。
この決勝には、オンライン審査で勝ち上がった作品、地方予選(ハッカソン+プレゼン予選)で勝ち上がった作品、テーマ賞を獲得した作品など合計約55作品が1日ぶっ通しでプレゼンをするプレゼンソン(過酷な時間)でもあります。
この55作品の中からヒーローが3作品選ばれます。
1日中プレゼンを聞くのは辛いと思いきや…これが楽しいんです。何かの審査に通過した作品が揃うので、作品もプレゼンも質が高く、見ていて飽きません。でも、何より参加している人がモノづくりをしているなので、休憩時の会話やタッチ&トライが楽しい(そして勉強にもなる)。このイベントに参加することを目標に応募する人もいるとかいないとか。
そんな決勝のプレゼンは4分厳守です!審査員は会場にいるみなさま(相互投票です)!
審査基準は以下の3つですが、結局は、「Wow」って心から思った作品を選べばOKです。
①チャレンジ度(ぶっ飛び度、変化球、新規性、アイデア)
②ギーク度(突き抜け度、こだわり度、完成度)
③ワクワク感(表現手法、体験、デザイン)
1チームにつき、投票権は5票。もちろん、自分のチームには投票してはいけません(それしたらみんな自分のところにいれるからww)。
発表されたすべての作品を紹介していきたいのですが、作品が多すぎるのでまずはTOP10に選ばれた作品からご紹介していきたいと思います。
※同点があるので13作品になります。
・SPELL MASTER スペルマスター (※InteractiveDesignヒーロー作品)
・自分ごと化フィルタ
・筋斗雲型モビリティ「きんとん」
・腕de時計 (オンライン)
・「Facelot」 写真を撮るだけでエントリーできる抽選システム
・Hicarix Badge – アプリで書換え電光掲示板バッジ
・のろいのスマホカメラ
・Cassettify(※IoTヒーロー作品)
・elet – 簡単電気共有プラットフォーム(※CIVICTECHヒーロー作品)
・GameControllerizer
・ルンバに掃除を教える(オンライン)
・ext-broom-mini
・鳥籠の人工苔は電気琴鳥の夢をみるか
まずは、ヒーローになったTOP3から紹介していきますね。実はTOP1は関東予選代表作品の一つ、TOP2は東海予選代表作品、TOP3は関西予選代表作品でした。この展開は過去で初めてじゃないかな?
※注意)このTOP10作品は、ヒーローとなったMA2018を代表する15作品とは別になります
■作品紹介
では、早速見事1位を獲得したのは作品の紹介です
1位:「Facelot」 写真を撮るだけでエントリーできる抽選システム
その場にいる人を撮影すると顔検出をして、抽選をはじめられるこの作品。例えば、結婚式の二次会の抽選で「一番笑顔の人を当選」や、選挙ボードを撮影して「誰を投票しようか」など(!)、使い方は様々。顔検出や表情、性別、年齢などの認識は、Microsort Azure Cognitive Services Face APIを利用。もちろん、会場でも実演していただきました。
プレゼン後、「やられた~」という参加者の声がチラホラ。MA参加者に悔しがらせるのは、MAで一番光栄なことな気がします。正直この作品、作品概要だけ読むのと、実際にプレゼンを見るのでは印象が全然違います。それだけ直感的に「いい」って思わせる力がありました。
インパクトを残しやすいハード作品が賞をとりやすくなっている昨今、APIをMashupしたソフトウェア作品が、この「みんなが選ぶヒーロー」で1位に選ばれたことは、MashupAwardsを長年運営している立場上、とても嬉しいことでもありました。アイデアやデザイン次第で、ハードを絡めなくてもいい作品は選ばれる!それを証明し、ソフトウェアエンジニアに希望を与えてくれた気がしました。
2位:GameControllerizer
GameControllerizerは「ゲームコントローラ」として振る舞う独自のハードウェア簡易なプログラミング環境からなるミドルウェア。例えば、ピアノひくことでブロック崩し、肩たたきで太鼓の達人。そんなことを可能にするゲームハックツール。
日常の動きをゲームにしたり、ゲームをすることで心肺蘇生のタイミングを学んだり…。アイデア次第でいろんなゲームの活用方法を生み出します。ソフトウェアはオープンソースとして公開中。
心肺蘇生のタイミングをゲームで学ぶって、発想がすごい。この事例はデモをみてね。
3位:Cassettify
昔なつかし、カセットテープからインターネット上のストリーミング放送が聞けるというもの。その上、捨てられないで家で眠っているカセットデッキからでもネットとつながるという。仕組みとしては、カセットに内蔵のWiFiチップがインターネットにアクセスし、ストリーミングした音楽を磁気ヘッドからアナログ出力することによって実現している。
新しいものが生み出されるとか、日常のものがIoT化される「だけ」ではなく、昔なつかしいものが技術によってに「生まれ変わる。」という、他の作品とは違った良さがあったように思います。「懐かしい」という声だけでなく、若い世代からは「磁気ヘッドの出力をいじるとカセットデッキから音が流せるって言うのが自分には新鮮」という声も。
「大事なのは変わっていくこと、変わらずにいること」ってまっきーも言ってた(出典:遠く遠く)。
TOP3には惜しくも届きませんでしたが、TOP10に選ばれた作品はこちらになります。
SPELL MASTER スペルマスター
「魔方陣」のような模様が描かれたメモ紙の真ん中に英単語を書いてスマホで読み取ると、その3Dモデルが召喚されるAR作品。それはまるで魔法のよう。会場からは「すげー」の声が。とにかく、この動画みてみて!
3Dモデルを Google Poly から動的に検索しているので、予想外の召喚もあります。例えば「Play」と記入するとバスケットコートがでてくるなど。それが大人たちに大人気w。
この作品は、MA2018代表作品の一つ、InteractiveDesignヒーローでもあります。
自分ごと化フィルタ
イメージしづらい単位を「規模」「価値」がイメージしやすいように自分の体験に変換してくれる作品。
デモは、PC25万円を時給計算して、何日労働って表示してくれるます。会場の盛り上がりも一緒に感じてくださいw。
筋斗雲型モビリティ「きんとん」
瓢箪や如意棒など多様なデバイスから操作できるモビリティ!実はこの作品、セルフリメイク作品。筋斗雲は「夢」の乗り物だからこそ、未来の子供達が「夢」を実装できるようなものにしたいと考えリメイクしたとのこと。コントローラーにmicro:bit を採用することで子供もプログラミングする事ができるようになりました。デモは、瓢箪デバイスでコントロール。
腕de時計
みんな!時計になりたいかい?この作品は自分が時計になれるデバイス。2つの時計の針(LED)を現時刻の角度に合わせるとピカピカ光る作品。Wifi でネットワークから時刻を取得し、加速度センサーで腕の角度を測定し、その2つの情報からLEDバーが暗くなったり光ったりします。
アイデアが斬新すぎます。オンラインプレゼンでしたが、刺客を送り込み、プレゼンも大盛り上がり。
Hicarix Badge – アプリで書換え電光掲示板バッジ
専用スマートフォンアプリHicarix Appでパターンを作成し、表示する事ができる電光掲示板のようなLEDバッジ。仕組みは無線通信ではなく、3つの明るさセンサーとスマホ画面を使ったシリアル通信。言葉だって表現できます。
のろいのスマホカメラ
三半規管に電気を流すと加速度を感じる人間の仕組みをハック。GVS機能付きヘッドフォンをつけさせ、スマホを傾けると、その人も同じ方向に傾きます。なんと、人を操れてしまうのです。 デモ見てください。これ演技じゃないですよ!
elet – 簡単電気共有プラットフォーム
誰もが簡単に電気を売ったり買ったりできるようにするためのコンセント型のデバイス。
このイベントに参加している人ならば、全員が電源難民経験だったかもしれません。電気が生活に入り込めば入り込むほど、この作品の需要も増えそうですね。
この作品は、MA2018代表作品の一つ、CIVICTECHヒーローでもあります。
ルンバに掃除を教える
ルンバをしつけるこの作品。作品名の通り、人間がルンバに掃除の仕方(経路)を教えます。
しかしインパクト大だったのがプレゼン。「ここからはルンバがプレゼンします」という映像のあとは、現場に送られてきたルンバが実演。そしてルンバがしゃべりはじめる(?)。オンラインプレゼンは、工夫をすればもしかしたらリアルなプレゼンよりもインパクに残るかも!?
ext-broom-mini
ハリポッターのように、箒にまたがって自由自在に移動する箒型モビリティ。昨年のforPROの覇者作品がアップデートして今年も登場です。より小型化され、分割して持ち運びもしやすくなり、更にお値段もお安くなりました。
この作品、もう製品化していいですよねってぐらいの完成度だと思います。でも、やっぱり運動神経は必要なんですよね?
鳥籠の人工苔は電気琴鳥の夢をみるか
人工苔と対話して、宇宙人とのコミュニケーション方法を学ぶ作品。何をいっているかわからないと思うので、ぜひ動画をみて!
先程はルンバがプレゼンしてましたが、今度は苔がしゃべってます。この苔、開発者が何日も話しかけて、オートエンコーダーで話しかけに対応する返事をするように学習し、しゃべってるんです。
この作品は、MA2018代表作品の一つ、技術の無駄遣い作品にも選ばれた作品でした。
以上が、TOP10に選ばれた作品でした。
すごい技術力の作品から、すごい狂ったアイデアの作品まで、そして「いますぐ欲しい!」と思える作品から、技術の無駄遣いの作品まで。
共通して言えるのは、自分のほしいと思えるものを作っている変態達というところでしょうか。
発表の合間合間の休憩では、他の人の作品を興味深くみなさん試していました。
みんなが楽しく作品をtouch&tryしている写真はこちら!
発表がたくさんあった分、個人賞もたくさん行き交ってました!
イベントの様子は、以下もみていただくと、さらにさらに雰囲気をわかっていただけると思います。
・つぶやきまとめ(Togetter)
・写真(Flickr)
みんな、お疲れ様でした!
選ばれたみなさま、おめでとう。
蛇足
冒頭でも記載したように、「みんなで選ぶヒーローの決勝」が私はMAで一番楽しみなイベントです。それは、発見があるから。FESTAになく、この「みんなで選ぶヒーローの決勝」にあるものは、問答無用に作品の発表を見なければ行けないところです。逆に足りないところは、じっくり作品を触る時間がないところ。だからこそそこはFESTAで気になった作品をじっくり体験したり触って欲しい。
このイベントは、とにかくたくさんの作品のプレゼンが聞ける。どんな作品が今年応募されたのか?どんな人がどんなアイデアで実装した作品なのか。そんなものを一気に知ることができ、そんな人達と交流ができるんです。だからこそ、イベントは1日中プラスのオーラで溢れてる。
この場にいるだけで、なんだか元気になります。
このスタイル(土日にカルカルで開催)になったのはMA10から。今年で5年目です(たぶん)。カルカルはもうMAの聖地と言い切りたい。そして、来年からはカルカルに来たら「来たぜ!カルカル」ってつぶやくことを恒例としたい。
まだ参加したことのない方は、ぜひぜひカルカルで開催されるこのイベントに一度参加してほしい。そのためには、来年是非応募してね。
カルカルの料理うますぎなのでそれも楽しみにしてきて。特にカレーが激ウマ。
そして、真面目な蛇足。
MAの作品の傾向は毎年変わってきています。今年は、作品を作るだけに終わらず、次の可能性を生み出すというか、使った人が考えたらもっと楽しくなるような作品が増えてきた気がします。「GameControllerizer」なんてまさにその作品だし、「SPELL MASTER」は予想外の召喚ができることで大人たちに新しい遊びを提供していたし、「きんとん」も子供もプログラミング教材として新しい何かを生み出すために生まれ変わってきた。
MAの良さは何でも受け入れる懐の深さだと思っています。だからこそ多様性が生まれる。
・すごい「技術力」の作品から、すごい狂った「アイデア」の作品まで
・「いますぐ欲しい!」と思える作品から、技術の無駄遣いの作品まで
・「数時間でつくりました!」という勢いで作ってしまった作品から、何年もかけて作りましたという作品まで
・「自分がほしければいい」という作品から、「誰かの役に立ちたい」という作品まで
本当にいろんな作品が発表されます。
そんないろんな作品を審査してみると、自分がどんな作品に興味をもつのか?次にCHALLENGEしてみたい技術はなにか?自分がいいなと思えるもの、自分の弱点、自分の次のステップなども見えてくる人もいるんじゃないでしょうか。
私達はいつもみんなにいろんな可能性と変化を見せてもらっています。また来年、カルカルでみんなと一緒に笑えるのを今から楽しみにしてます。毎年この楽しみをありがとう!
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